ニカラグア・カトリック大学(UNICA)で講演会をおこないました
皆さんこんにちは、研究員の川嶋です。
8月4日から調査のため中米・ニカラグアに来ています。
調査中はこちらのHPやInstagramで活動の様子を紹介したいと思います。
皆さまぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
さて本日は、ニカラグア・カトリック大学(UNICA)で実施した講演会について紹介します。
テーマは「コミュニティ・地域開発」ということで依頼いただき、私たちが2013年から活動してきたニカラグア・マティグアスでの調査の様子をお話しました。
題目:Desarrollo Comunitario a través de la Investigación -De Ahora en Adelante-
邦題:研究を介したコミュニティ開発-「今」からもっと先へ―
開催日:2025年8月6日(水)10:00~11:30
開催地:ニカラグア・カトリック大学 / Universidad Católica Redemptoris Mater (UNICA)
発表タイトルの副題「『今』からもっと先へ」というのは、これまで私たちが活動してきた約10年の経験『今まで』を経て、
ここからまたさらに新しい活動に向けて頑張るぞという気持ちを込めてつけました。
この講演会にはUNICAの幅広い研究分野の先生方が総勢23名ご出席くださり、終了予定を大幅に超える質問やコメントをいただきました。
・調査地はどのようにして選ばれるのか。
・コミュニティの抱える課題をどのようにして見つけるのか。
・貧しいコミュニティでは毎日を生きるので精一杯だと思うが、どのような方法で文化財を守ることに意識を向けるのか。
・盗掘にはどのように対応するのか。
・考古学者が(考古学者なのに)コミュニティに根差した活動ができるのは何故?
・コミュニティに入っていくにはどのようなことに気を付けているか。
などなど。
私たちは2013年から実践的地域研究「プロジェクト・マティグアス」を行ってきました。
ニカラグアの情勢不安(2018年)やパンデミックなどを経て、2022年からニカラグアでの活動を再開しました。
中断していた期間もありますが、かれこれ10年以上、ニカラグアでの調査を続けてきました。
活動の中で私がたどり着いた「コミュニティ活動で大切なこと」を最後に紹介しました。
・コミュニティと定期的に顔を合わせること
→例えば1年コミュニティを訪問しなければ、コミュニティから忘れ去られてしまう。コミュニティ(農村部)と都会の時間の流れや捉え方が異なる。継続することが大切。
・コミュニティ内で「調査」以外のコミュニケーションを怠らないこと
→調査中はコミュニティに滞在するので、食事、宿泊、買い物などをコミュニティ内で行うことになる。調査中だけでなく、日々のコミュニケーションを通じて少しずつ信頼を築く。日々の交流の積み重ねを通じてコミュニティの潜在的な問題を見つけることができることもある。
・コミュニティ内の主要な行政機関や、学校、大学などと連携すること
→調査の手続きとして必要な場合もあるが、コミュニティ内で活動する際に機関同士、学校同士の連携を通じて我々も活動を広げやすくなる。
・文化財保護に関する意識の向上
→コミュニティの持つ地域資源(Recursos locales)をコミュニティ自身で認識することが大切。地域資源とは、文化財だけでなく、自然環境や歴史、特産品、伝統や習慣などのことである。その中でも、アイデンティティや教育に繋がる文化財の保護と活用に向けてワークショップを実施している。
UNICAの先生方は、コミュニティで活動する難しさや、継続する大変さをご存じだからこそ
このプロジェクトで紹介したコミュニティの変化の過程には大変驚かれたようでした。
私たちが活動しているコミュニティが特別なのではなく、大切なのは「方法」であり、
どのようなコミュニティもポテンシャルを秘めているのだと私は思います。
最後になりましたが今回このような機会をくださいました、UNICA国際部長のフランシスコ・エレラ先生、
温かいコメントをくださいました、ご出席のUNICAの先生方には心より感謝申し上げます。
川嶋まどか